株式会社光洋は、1966年創業の精密ばね専門メーカーです。私たちはコーポレートサイトの制作から継続的なSEOサポート、業界誌広告や周年ロゴの制作までを一貫して担当しています。
このプロジェクトで設計したのは、広告のデザインそのものよりも、読者が広告に出会ってから問い合わせにたどり着くまでの道すじでした。
紙で完結させない
ものづくり系の業界誌広告は、製品写真とスペック表で紙面を埋める形式が一般的です。限られた誌面に情報を詰め込み、そこで完結させようとする作り方です。
私たちはその形式を採りませんでした。紙面だけで製品の価値を伝えきることはできないと考えたからです。精密部品の採用を検討する読者が本当に知りたいのは、スペックの一覧ではなく、その部品がどういう課題からどう生まれたのかという背景です。それは広告1ページには収まりません。
そこで広告の役割を、説明することではなく、続きが読める場所へ連れて行くことに絞りました。
媒体に役割を分ける
紙の広告は入口、Webの記事は説明、記事末尾のCTAは着地。この三段構えで役割を分けました。
広告ではコーポレートサイトに掲載している「樹脂カバー付きクイックファスナー」の開発秘話をピックアップし、QRコードから記事ページへ誘導します。記事では開発の経緯や技術的な背景を十分な分量で読んでもらい、そのまま問い合わせのCTAに続く構成にしました。紙・Web・問い合わせを別々の施策として扱わず、ひとつの流れとして組み立てています。
広告のコピーには顧客の声を置きました。「ワンタッチで取り付けたい」「取り付けミスを無くしたい」。技術的な説明より先に「これは自分ごとだ」と感じてもらうことが、記事への誘導と問い合わせへの最短ルートだと考えたためです。
掲載号ごとに、測れるようにする
この設計でもうひとつ重要なのが、出したあとに判断できる状態にしておくことです。
QRコードのリンク先は掲載号ごとに変えてあります。これにより、どの媒体の、どのタイミングの広告が問い合わせにつながったのかを追跡できます。紙の広告は効果が見えにくいと言われますが、見えにくいのは媒体の性質ではなく、測れる形で出していないからです。
このトラッキングは、継続して行っているWebサイトのSEOサポートと同じ土台の上に載っています。オフラインの施策とオンラインの計測を切り離さないことで、次にどの号へ出稿するか、どの記事を広告に使うかを、印象ではなく記録に基づいて判断できます。
作る前に、届く道すじを決める
広告を作ってから「どこへ誘導しよう」と考えるのでは順序が逆になります。誰に、どの順番で、どこで出会ってもらうかを先に決めたうえで、必要な媒体だけを選び、それぞれに役割を与える。制作物は、その道すじを実現するための道具です。
紙もWebも自社で手がけているからこそ、媒体をまたいだ一貫性と、測定までを含めた設計ができると考えています。