「111のゾロ目」という着眼点
110周年と111周年。この2つの節目を、連続する別々の周年として扱うのか。あるいは、この数字の並びに別の意味を見出せないか。私たちがプロジェクトで最初に問うたのは、そこでした。
1912年創業の大阪ラセン管工業は、金属製フレキシブルチューブの国産化に始まり、110年以上にわたり製造業の現場を支え続けてきた専門メーカーです。百年企業が迎える節目は、単なる記念行事ではありません。自社の歴史をどう定義し、社内外にどう伝えるかを問い直す機会です。私たちはその問いを軸に、複数案を提案しました。
採用されたのは、三桁の数字がすべて揃う「111」のゾロ目を起点にしたアプローチです。視覚的に整った気持ちよさと、「揃う」という縁起の意味が重なるこの着眼点が、110・111周年を一体のプロジェクトとして貫くコンセプトになりました。
マークから展開する、2年間限定のノベルティ
周年マークが確定したあと、私たちはそのマークをどこに・どんな形で・誰に届けるかを設計しました。限定感と実用性のバランスを考えながら、複数のノベルティへと展開していきました。
2年間限定の社章は、周年マークをそのまま身につける形です。社員が日常的に着用することで、周年の意識が社内に継続的に宿ります。対外的にも「今、大阪ラセン管工業は節目にある」というメッセージを、言葉を添えずに発信する媒体となります。
日本酒は、取引先への周年の挨拶として制作しました。周年マークを施したラベルを貼ることで、贈り物そのものがブランドコミュニケーションになります。チロルチョコは手軽に受け取れ、記憶に残りやすいカジュアルなノベルティとして選びました。カーラッピングでは社用車に周年マークを展開し、移動するたびに節目を社外へ伝える媒体としました。ロール付箋は日常の業務で使われ続けるアイテムとして、長く手元に残るものを選びました。
周年を「誇り」に変える仕事
私たちが周年事業で大切にしているのは、「記念」で終わらせないことです。社章・ノベルティ・カーラッピングという異なるメディアで一つのマークを展開することで、110・111周年という節目を、社内外で一貫したブランドメッセージとして響かせ続けることを目指しました。
単体のグッズ制作ではなく、周年マークを起点に複数のタッチポイントを設計するアプローチは、長期継続クライアントだからこそ成立する仕事です。企業の歴史への深い理解と信頼関係があるからこそ、「記念品」ではなく「誇り」として機能するものを一緒につくれます。大阪ラセン管工業とのプロジェクトは、Webサイト・映像・周年事業と接点を重ねながら、今も続いています。