世界の舞台に、「見えない技術」を持ち込む
2025年10月、大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」の展示・出展ゾーンに、大阪ラセン管工業株式会社が出展しました。「身近な課題や世界のお困りごとを大阪の町工場が解決します」というテーマのもと、1912年創業の金属製フレキシブルチューブ・ベローズ専門メーカーが、世界規模の観客の前に立ちました。
ブースの企画・空間設計・映像制作・グラフィックにいたる全体ディレクションを、私たちが担当しました。出展期間は7日間。1日数万人が行き交う万博会場で、専門性の高い製造技術の未来像をどう「体感」させるか。それがプロジェクト全体のテーマでした。
3面スクリーンで「包まれる」体験をつくる
ブースの中核に据えたのは、2m×2mのスクリーン3面による没入型の映像空間です。
来場者はブース内に立ち、左右と床面の三方向から映像に包まれます。パネルや製品説明を「読む」展示ではなく、空間ごと体験させる設計です。フレキシブルチューブやベローズという製品は機器の内部に組み込まれることが多く、外からは見えません。宇宙開発・半導体・医療機器・住宅設備など、社会のあらゆる場所にその技術が宿っているにもかかわらず、一般の人が目にする機会はほとんどありません。
この「知られていない価値の未来像を伝える」という課題に対して、私たちは映像という媒体で正面から応えることにしました。フレキシブルチューブやベローズが、宇宙や医療の現場で使われている未来像を映像で表現し、「近い将来、この技術が使われているかもしれない現場」を体感してもらいたいと考えました。3面スクリーンは、その意図のために選んだ構造です。
長期的な関係が、万博の仕事を可能にした
大阪ラセン管工業との関係は、2017年の第1回名古屋 航空・宇宙機器 開発展展示ブースから始まりました。以降、Web制作、映像制作、110・111周年記念事業と接点を重ねてきた蓄積が、今回の万博出展ブースという大きな仕事につながりました。
「この会社が万博で何を伝えるべきか」。その問いに答えるためには、製品の知識だけでなく、企業の文化や価値観への理解が必要です。長年の関係があるからこそ、空間・映像・グラフィックを一貫したメッセージで設計することができました。世界を舞台にした展示は、信頼の蓄積が形になった仕事です。