私たちFREEBEは、韓国のスキンケアブランド「TUPS(トゥップス)」を日本市場へ導入しました。クライアントワークとして請け負ったのではなく、私たち自身がインポーターとして事業の当事者になっています。
このプロジェクトで最初に取り組んだのは、サイトを作ることでも広告を出すことでもなく、日本市場のどこに立つのかを決めることでした。
加熱する市場の中に、空白地帯を探す
韓国コスメ市場は加熱しています。競合が多く、話題性で戦えば埋もれる領域です。
私たちが着目したのは、その市場の内側にある偏りでした。韓国コスメとして流通しているものの多くは一般消費者向けであり、「エステ専売品」というカテゴリには空白地帯があると考えました。TUPSは、プロのエステシャンや美容家が現場で使う品質を、一般のホームユーザーにも届けるというコンセプトを持つブランドです。この立ち位置なら、加熱した市場の真ん中で戦わずに済みます。
市場を選ぶとは、競合の多い場所を避けることではありません。自社の商品が持つ性質と、市場の空きが重なる一点を探すことです。
想定した顧客と、実際に反応した顧客
設計当初、私たちが想定していたのは韓国コスメに興味のある20代〜40代の女性でした。DtoC(消費者への直接販売)を前提に、ECサイトを中心とした展開を計画していました。
ところが実際に稼働を始めると、想定とは違う層から手応えがありました。品質そのものと、「エステ専売」という文脈に、プロフェッショナル——エステティシャンや美容に携わる方々——が反応したのです。
ここで私たちは、当初の想定に固執せずターゲットを見直しました。DtoCに加えて、BtoBの展開を開始しています。
想定と現実がずれること自体は、珍しいことではありません。重要なのは、ずれに気づける状態にしておくことと、気づいたときに定義を書き換えられることです。マーケティングは一度決めて終わりではなく、反応を見て更新し続ける工程だと私たちは考えています。
販路を、ECから店頭へ広げる
顧客層の見直しは、そのまま販路の見直しにつながりました。
当初はECのみを想定していましたが、プロフェッショナルの反応を受けて、現在はエステの店頭でも販売を広げています。届ける相手が変われば、出会う場所も変わります。ECで完結させるという最初の設計に縛られていたら、この販路は生まれていません。
なぜ、自分たちが売る側になったのか
受託ではなく事業の当事者になった理由はいくつかありますが、その一つは自社で培ったノウハウを活用しながら、新しいノウハウを積み上げるためです。
ブランドを設計する立場と、そのブランドで実際に売る立場では、見える景色が違います。想定した顧客が動かないこと、思わぬ層が反応すること、販路を変える判断のタイミング——事業主として市場に向き合うことでしか得られない実感があります。
ここで得たものは、クライアントワークに還元されます。私たちがマーケティングを語るとき、それは他社の事例の紹介ではなく、自分たちが当事者として踏んだ判断の話です。